研究内容

熱い宇宙をクールに観測!

X線は1千万度を超えるような「熱い」場所から出てきます。あるいは、光の速度に近い高速粒子から出てきます。今やX線は、惑星・彗星から銀河団に至るまで、宇宙のあらゆる階層から出てくることがわかっています。つまり、ほとんどの天体はなんらかの形で高エネルギー現象を起こしているのです。我々は宇宙から来るX線を観測し、物理学を駆使してデータを「冷静に」解析し、宇宙高エネルギー現象の謎を解明することを目指しています。

我々の研究のもう一つの柱は、X線天文学のための観測装置の開発です。当研究室は、2023年9月に打ち上げられた最新のX線天文衛星XRISMに搭載されたX線CCDの主要開発機関です。このX線CCDは、ノイズを押さえるため衛星軌道上では-110~-120℃まで冷やされ、満月を超える広い視野でX線画像とスペクトルを取得します。XRISMにはX線マイクロカロリメーターも搭載されており、こちらは50mKという超極低温に冷却され、超高精度X線スペクトルを取得します。XRISMはこのように「冷たい目」で「熱い宇宙」を観測しています。我々はまた、未開拓の領域であるMeVガンマ線天文学を推進するため、またダークマターの正体解明のため、液体アルゴンタイムプロジェクションチェンバーという新検出器を開発しています。この装置もまた、-185℃の「冷たい」観測装置です。他にも、日本・アメリカ・スウェーデンによる国際共同実験XL-Caliburを推進しており、そのための硬X線望遠鏡の開発を行っています。XL-Caliburは、南極という「極低温地」から気球を打ち上げ、長期間フライトにより硬X線の偏光を測定することが目的です。同時に、将来の高性能X線望遠鏡を実現するための技術開発も行っています。

高エネルギー天体物理学の研究

XRISM衛星

ブラックホール

中性子星

超新星残骸

爆発的恒星現象

次世代宇宙ミッション・観測機器の開発

XRISM衛星搭載X線CCDイメージャの開発

XL-Calibur気球実験: 硬X線偏光観測

次世代X線望遠鏡の開発

GRAMS実験: 宇宙MeVガンマ線観測・暗黒物質探索